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しかし、ドアの向こうの人物が動く気配はない。
(ふむ…なかなか往生際が悪いな…よし…)
黒狼の躯(からだ)が眩い光に包まれて消えた。
少年はドアの裏側で潔く出るべきかそれともこのまま隠れた方が良いのか悩んでいた。
すると、突然、少年が隠れていたドアが後方へ動いて、少年はたたらを踏んだ―――と、
《おい、いつまで隠れているつもりだ?》
頭に直接、声が響いた。
ドアに片手をかけて、日に焼けた浅黒い肌に、黄金色の瞳を持つ黒髪の若い男が、やや呆れ顔で少年を見下ろしていた。
男の前髪は、左右の端が長く、左の一房に三連の金のビーズが飾られていて、ウルフカットの髪は、鎖骨辺りまであった。
その背には、革のベルトで無骨な大剣が背負われていて、男が剣士であることがわかる。
丈の短い黒い服の腰には、水筒や数個のポーチがくくりつけられていて、白いズボンの上に、膝下までの黒い革のブーツを履き、黒い革のガントレットを黒衣の下に着た白い服の上に装備していた。
年齢は二十四、五だろうか?
ややつり目がちの精悍な顔は、女にモテそうだ。
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