2698人が本棚に入れています
本棚に追加
「そちらの方々も何かご関係が?」
続け様に放たれた盛岡の問いに、八嶋はギョッとして顔を歪めた。
何と説明すれば良いものか。
先程と同様に、さすがに赤月の女の話をする訳にはいかない。
それ故、佑奈達との関係を素直に答える事は出来ない。
十年も前の事件の関係者とも言える筈も無く、かといって無関係な若者だと言った所で、盛岡に嫌な印象を与えてしまうだけだろう。
八嶋は暫く考え込んだ後、口を開いた。
「か、彼等は私の部下ですよ。
なにぶん新米なもので、もうすぐ定年を迎える私が教育係に抜擢されたのですよ……」
口にした途端、辺りを静寂が包んだ。
あまりにも厳し過ぎる八嶋の嘘に、佑奈達三人は心の中で溜め息をついた。
誰の目から見ても、三人の姿は刑事とは程遠い。
四人は盛岡の次の言葉を神妙な面持ちで待った。
「そうですか、大変ですね」
にっこりと微笑んで八嶋の嘘を真に受けた盛岡の言葉に、四人は安堵の表情を浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!