プロローグ

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 ある所に、子供達と静かに暮らす一家がいました。  特に裕福な生活とは言えないものの、両親はいつも笑顔を絶やさず、子供達もまた、そんな両親が大好きでした。  一家を知る人達からの印象も、それはそれは微笑ましいものでした。  その日、母親が仕事を終えて家路についたのは、陽が沈み、闇が空を支配する時刻でした。  子供達の為なら、と考えれば、毎日のように働いても苦には感じない。  自分が帰って来た時に見せてくれる愛らしい笑顔が、嫌なこと全てを忘れさせてくれるようにも思っていたのです。  今日も家へ帰れば、子供達が笑って出迎えてくれる──そう思っていた。  しかし、その日は子供達の出迎えは無かったのです。  母親は帰宅してすぐに、家の中の妙な異変に気付きました。
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