訪れた悲劇

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「そういえば朝香。何で健くんと喧嘩してるの? あれから連絡も無いじゃない」  思い出したかのように佑奈が朝香に尋ねた。 今まで聞こう聞こうと思っていたものの、赤月の女の事で聞く暇が無かったのだろう。  その佑奈の言葉に、朝香は少し間を置いて「ホントだ、忘れてた」と、笑いながら応えた。  存在すら忘れてしまっている朝香の言葉に、佑奈は苦笑いを浮かべ、本当に付き合っているのか?という疑問が頭を過ったが、あえて口には出さなかった。 「聞いてよ! 健のやつ結構嫉妬深くてさ、私が遊んでるのバレちゃってすんごい顔で怒って殴ってきたの!」  そう言っている朝香の顔が、その時の苛立ちが蘇っくるように強張っていく。 「それでムカついたから、冷たくしてやってんの!」  と、朝香の苛立ちは止まる事を知らないと言った感じに続く。  正直、遊び好きな朝香の自業自得なのでは?とも思ったが、それ以上に普段温厚な健とのギャップが頭に過った。
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