2698人が本棚に入れています
本棚に追加
目の当たりにしてしまった仲の良かった者の死。
更に、バラバラ死体という残酷過ぎる殺され方。
盛岡にとって、思い出したくない出来事なのだろう。
それは、佑奈達にも共通して言える感情だった。
しかし……
「当時の事を思い出すのは辛いと思います。
しかし、我々も聞かなくてはならないのです。
申し訳ありませんが、お聞かせ願いませんか?」
急かすように言った八嶋の言葉に、佑奈達三人は胸を痛めた。
自分達も、盛岡の気持ちは痛い程理解出来る。
しかし、盛岡の話から、冴嶋登喜子の事件と赤月の女の話を結びつける事が必須となる。
今の所、相違点は無い。
夏実の話の中に出てきた夫。
この問題は幾つもある話の中では、ほんの一例であり、他の話には夫が登場しないものもあるだろうから、特別な相違点とは言い難い。
ともかく、今は何としても盛岡から話を聞かなくてはならない。
今この瞬間にも新たな検証者が現れ、赤月の女による被害が拡大してしまっているかもしれないからだ。
実質、佑奈達に一刻の猶予は無い。
最初のコメントを投稿しよう!