訪れた悲劇

10/16
前へ
/335ページ
次へ
 目の当たりにしてしまった仲の良かった者の死。 更に、バラバラ死体という残酷過ぎる殺され方。 盛岡にとって、思い出したくない出来事なのだろう。  それは、佑奈達にも共通して言える感情だった。  しかし…… 「当時の事を思い出すのは辛いと思います。 しかし、我々も聞かなくてはならないのです。 申し訳ありませんが、お聞かせ願いませんか?」  急かすように言った八嶋の言葉に、佑奈達三人は胸を痛めた。 自分達も、盛岡の気持ちは痛い程理解出来る。 しかし、盛岡の話から、冴嶋登喜子の事件と赤月の女の話を結びつける事が必須となる。  今の所、相違点は無い。  夏実の話の中に出てきた夫。 この問題は幾つもある話の中では、ほんの一例であり、他の話には夫が登場しないものもあるだろうから、特別な相違点とは言い難い。  ともかく、今は何としても盛岡から話を聞かなくてはならない。  今この瞬間にも新たな検証者が現れ、赤月の女による被害が拡大してしまっているかもしれないからだ。  実質、佑奈達に一刻の猶予は無い。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2698人が本棚に入れています
本棚に追加