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盛岡自身、未解決となってしまったままの事件の真相を知りたい。
そんな感情からか、振り絞るかのような小さな声で再び話し出した。
「ある日、突然冴嶋さんと連絡が取る事が出来なくなったんです。
その頃、電話をしても留守電に繋がり、冴嶋さんがパートをしているお店にも行ってみたのですが、無断欠勤を続けているらしく、息子さん達も学校に行ってないとの話を風の噂に聞きました。
私の方も、それから忙しく、疎遠となってしまった冴嶋さんの事も気がかりだったのですが……次第に連絡する事も無くなっていったんです。
それが、あんな事になるなんて……」
「あの事件が起きた、という事ですね?」
「はい。いえ、正確に言えば起きていたのです……」
何気無く訂正したこの盛岡の言葉。
それこそが、事件と赤月の女との繋がりを示す事となった。
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