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「不安になり、悪いとは思ったのですが、中へ入る事にしました。
扉を開いて中に入ると、明らかな異変に気付いたんです」
「異変、ですか」
「はい。家の中を……何かが腐ったような、吐き気を催す程の異臭がしたんです」
この盛岡の言葉に、佑奈達四人は目を見開いた。
盛岡から見ても分かる程に驚きを隠せない。
話を続ける盛岡の掌に汗が滲み始めた。
「そのまま中へ入ると、階段から血のような赤黒いものの流れ落ちた跡が残っているのに気付いたんです。
それで恐る恐るその跡を辿って階段を上がったのですが……」
そこで再び盛岡の言葉が止まった。
しかし、その先は容易に想像がつく。
盛岡の目を見つめ、八嶋が静かに口を開いた。
「部屋の中に冴嶋さんの遺体があった。──そうですね?」
「はい」
八嶋の言葉に盛岡は頷き、囁くほどの声で答えた。
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