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「…まーやちゃんどこ行っちゃったんだろー?」
始業のチャイムが鳴りようやく開放されたファイは、先ほど教室を出て行ってしまった真綾を探していた。
だが、ファイにはなんとなくわかる。
(まーやちゃんはきっと…。)
「…やっぱりいた」
そこには、すやすやと眠る真綾の姿。
とても気持ち良さそうに寝てるから、自分もまぜてもらうことにしたファイは、真綾の隣に仰向けにごろんと寝転ぶ。
「んー、気持ちいいなぁー。お昼寝に最適だねぇー」
すぐ横で眠る真綾を見ると、うっすらと目を開けた。
どうやら起こしてしまったらしい。
「おはよー」
「……ふぁ…ぃ…?」
「んー?なあにー?」
眠気眼の真綾に返事をするも、ファイを呼んだ本人は、今だ夢の中にでもいるかのようだ。
「……」
しばしぼーっとファイを見つめ、周りを見回した彼女は、ようやく自分の状況を思い出したらしい。
がばっと勢い良く起き上がり、再びファイをその瞳に映した。
「なんでファイがここにいるの!?」
「えー?だって真綾ちゃんを探して屋上にきたら、気持ち良さそうに眠ってるんだもんー」
「授業は!?」
人の事を言えるのかなー、と思いつつ、口をついて出たのは別の言葉。
「オレはいいんだよー。まーやちゃんこそ、こんなトコでサボってていいのー?」
「いや、教師がサボっちゃまずいでしょ!!?」
「でもオレ、疲れちゃったー。ちょっと休憩ー」
さらりと無視して寝転んだまま全く動く気のないファイに、真綾は呆れたらしく、はぁ、と一つ溜め息をついた。
「…それにしても、まーやちゃんって頭いいんだねー。オレびっくりしちゃった」
「まぁ、元居た世界でも成績は良かったよ。ファイは学校行った事ないんだよね?」
「うんー。だからオレ、ちゃんとやれるか不安だったんだー」
真綾は、『嘘ばっかり』という表情を隠そうともせずファイに向ける。
「すっごく楽しそうにしてるくせに、よく言うよ。
それに、随分人気じゃない?ファイ先生?」
たっぷり嫌味を込めて言われる。
(これってつまり…)
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