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「ヤキモチー?」
ファイがそういうと、麻矢はぷいっとそっぽを向いた。
「まーやちゃんー?」
「……」
返事をしなくなった真綾に、ファイはもぞもぞと起き上がって近付く。
「えっ、ちょっ、ファイ!?///」
「オレちょっとお昼寝するからー」
顔を赤くして慌てる真綾をよそに、ファイは彼女の膝を借りたまま瞼を閉じる。
「寝るなっ!!何考えてんのよ、もうっ!!///」
やがて、諦めた真綾の膝の上で寝息をたて始めると、またため息が一つ聞こえた。
「…ほんとに、何考えてるんだか…」
狸寝入りだと知らない彼女は、そっとファイの髪に指を絡めて呟く。
「私の気持ちに答えるつもりがないなら、こんなことしないでよね…」
寂しく、だけどとても優しい声音。
それは彼女自身の心を表していた。
「………好きよ、ファイ…」
髪を梳く手が止まり、穏やかな寝息が聞こえてきた頃、ようやくファイは目を開けた。
「…ごめんね…」
君の気持ちを知りながら、答えてあげられなくて。
君を好きになってしまって。
…君を、諦められなくて…。
ファイの声は届くことなく、風に溶けて、消え去った…。
end...
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