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そうこうしているうちに、授業の終了を知らせるチャイムが鳴った。
「じゃあ今日はここまでー」
ファイが教材をまとめていると、あっという間に女生徒が集まってきた。
「ファイ先生~、ここわからないんですけど…」
「ファイ先生、この問題教えて下さいっ」
「ちょっと、私が先よ!」
「何よ!!」
「はいはい、皆順番ねー」
真綾はその様子を眺めていたが、やがて席を立った。
「ファイさん、すごい人気ですね…。いいんですか?」
「いいも何も、仕方ないんじゃない?じゃ、私屋上行ってくるから」
「あっ、真綾さん…」
小狼が引きとめようとするのを無視して、教室を出る。
最上階まで階段をのぼり重い扉を開けると、心地よい風が吹き抜けた。
真綾はそこからさらに、給水塔の上にのぼって寝転んだ。
「…気持ちいい…」
校庭からは賑やかな声が聞こえてくる。
その中でも一際大きな黒鋼の声。
「うおっ!?何しやがんだテメーらッッ!!」
(…おちょくられてるな。
頑張れ、黒鋼せんせ。)
校庭の声に耳を傾けていると、段々眠気が襲ってきた。
まだ授業は残っているが、そんな気分ではない。
どうせサボるつもりだし、このまま眠ってしまおうか、と、睡魔に身を任せて瞼を閉じた。
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