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紗江子ちゃんの身体が光を発しだした。紗江子ちゃんが話し始めた。
「私、やっとわかった。私は、人との絆が欲しかったんだ。だから、今までこの世にいたんだ。」
紗江子ちゃんのもとから透けていた身体がさらに透け始めた。
「私は、楓未ちゃんの気持ちが嬉しい。私を思ってくれる人がいることが、本当に嬉しい。」
もはや、紗江子ちゃんの身体は光輝いている。
「ねぇ、楓未ちゃん。私は、同性同士が恋い慕うことは、何もおかしいことだと思わないよ。お互いに思い合うことは、同性であれ異性であれ素敵なことだと思う。その気持ちに、後ろめたいものなんて何にもない。」
そして、一呼吸おいて
「ありがとう。」
と言った。
その瞬間、紗江子ちゃんの身体が消え始めた。私は気がつかないうちにこぼれていた涙をぬぐい、声をはりあげた。
「ありがとう。紗江子ちゃんとの思い出は、一生忘れないよ❗」
紗江子ちゃんの口が動いた。声は聞こえない。だが、口の形でわかった。
「ありがとう。」
そして、紗江子ちゃんは消えた。
大粒の涙がぼろぼろこぼれてきた。私は、思い切り泣いた。
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