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少年は中心にいるまま、事の成り行きを見守っていた。
主達は城へと帰って行く。
そして、少女も…
しかし少女は動こうとしない、一歩歩き出してしまえばもう二度と表の世界には帰って来れないから。
「おい、早く行け!」
騎士が促す、しかし少女は動かない。
「っ!早く行かんか!」
騎士が少女を強引に動かそうとした。
「…いや、やめて!」
少女は力の限り抵抗する。がしかし騎士には敵わない。
腕を掴まれ城へと連れていかれようとしている。
ズルズルと、裏の世界へ
少年はそれをただ見ていた。
少女を、少女の瞳を。
少女はどんどん遠ざかって行く。城への門が閉じられようとした時、
「たすけて…!」
少女が少年を見て、確かにそう言った。目が合った。
この距離で“助けて”と言った、目が合ったと確定できるはずはないが確かに少女は言ったのだ、目が合ったのだ。美しい、金色の瞳。泣いていた…
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