Act4 夏中盤戦:飴とムチとしじみと…

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「ねぇ和也……僕どうしたらいい?」 部屋のドアを開けた途端、地面で激しくのたうち回っている進藤が動きを止め、そんな事を聞いてきた。 「いや~それにしても、進藤が演劇をやってたなんて知らなかったなぁ~!」 「冗談は良いから何か案をくれよ!」 「一つ良いことを教えてやろう……マイマザーは演劇を死ぬ程愛している」 「へぇ~……もしかしてそれって、僕にプレッシャー与えているだけじゃないかな?」 クククッ……これは面白い事になってきたぞ。 「大丈夫だ、篠塚祭まで後4ヵ月近くある。その間に出来る事なんか沢山あるだろ?」 「そんな簡単に言ったって……」 「お前はその程度の男だったのか?」 「えっ?」 「嘘をつくのがそんなに恐いか?だったら嘘なんかつかなければ良い」 「けど、もう手遅れなんだよ」 「ふっ、諦めるにはまだ早いぞ?」 俺が言った事は一見矛盾してるようで、実は矛盾していない。 「つまり、嘘を真実に変えれば良いんだ」 「……!」 「理解出来たみたいだな」 「でもそれが出来るかなんて分かんないし、保証も出来ないよ」 「ダアホ!やる前から諦めてどうする!少なくとも、俺が知る男ならこんな所で諦めたりはしない」 「……そうか、僕とした事が一番大事なことを忘れたよ。悪い和也、僕にはやる事が出来た」 「あぁ、行ってこい!それが、お前の求めていた答えだ」 進藤は何かを悟ったかのようにスクッと立ち上がり、部屋のドアを開ける。 「ありがとう和也」 「礼には及ばんさ」 そうして進藤を玄関で送り出した訳だが。 「そういえばあいつ、何しに来たんだ?」 まぁ、良いか。今年の篠塚祭は本当に楽しくなりそうだ。
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