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「ねぇ和也……僕どうしたらいい?」
部屋のドアを開けた途端、地面で激しくのたうち回っている進藤が動きを止め、そんな事を聞いてきた。
「いや~それにしても、進藤が演劇をやってたなんて知らなかったなぁ~!」
「冗談は良いから何か案をくれよ!」
「一つ良いことを教えてやろう……マイマザーは演劇を死ぬ程愛している」
「へぇ~……もしかしてそれって、僕にプレッシャー与えているだけじゃないかな?」
クククッ……これは面白い事になってきたぞ。
「大丈夫だ、篠塚祭まで後4ヵ月近くある。その間に出来る事なんか沢山あるだろ?」
「そんな簡単に言ったって……」
「お前はその程度の男だったのか?」
「えっ?」
「嘘をつくのがそんなに恐いか?だったら嘘なんかつかなければ良い」
「けど、もう手遅れなんだよ」
「ふっ、諦めるにはまだ早いぞ?」
俺が言った事は一見矛盾してるようで、実は矛盾していない。
「つまり、嘘を真実に変えれば良いんだ」
「……!」
「理解出来たみたいだな」
「でもそれが出来るかなんて分かんないし、保証も出来ないよ」
「ダアホ!やる前から諦めてどうする!少なくとも、俺が知る男ならこんな所で諦めたりはしない」
「……そうか、僕とした事が一番大事なことを忘れたよ。悪い和也、僕にはやる事が出来た」
「あぁ、行ってこい!それが、お前の求めていた答えだ」
進藤は何かを悟ったかのようにスクッと立ち上がり、部屋のドアを開ける。
「ありがとう和也」
「礼には及ばんさ」
そうして進藤を玄関で送り出した訳だが。
「そういえばあいつ、何しに来たんだ?」
まぁ、良いか。今年の篠塚祭は本当に楽しくなりそうだ。
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