小町と慎二

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ちなみに、今は時間にすると昼休みぐらい。 今頃は一階にある購買店で一番人気の『焼きそばパンOIH』が壮絶な争いを経て勝者の手にわたっているぐらいの時間である。 OIHとは、オバチャンのイキな計らい、の略称である。 「まあ、美島さんは美人だもんねー。しかも、ボイン」 小町はお弁当の玉子焼きをひょいとつまんで口に入れた。 「おーい、小町さん?それは俺の弁当なんですけど?」 「あら!美味しい!」 「シカトですか?」 「無論」 「力の限り謝ってくれ」 「黙秘権を行使する。しかも、ボイン」 「何でだよ。そして、意味わかんねーよ」 「ボインっていうのは……」 「いや、そこはわかるから」 「キャー!いやらし、思春期、ス~ケ~ベ!」 「……もう諦めるよ」 「それでいい!じゃあ、もう一個!」 こうして、慎二のお弁当からまた一つ、玉子焼きが姿を消していった。
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