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キュッ。と水道の蛇口をひねると生温い水が流れだす。
キャミソールと短パンという格好にもかかわらず、身体中の汗腺から汗が吹き出しているようだ。
ミーンミーン。蝉達は短い一生をしってか知らずか、ただただ、無情にもただミーンミーンと恋のワルツを唱えてる。
開け放した窓を見やり、やっと冷えてきた水をコップに注いで蛇口を閉めた。
彼のいない部屋に戻り、ゆっくりと水を飲み干す。
あたしが水に溶けて、
消えて、なくなってしまったら。
優しい君は泣くのかな、それとも、
空になったコップをシンクに置き、軽く水で濯ぐ。
あたしを飲み干して空にしてくれるなら、なんて幸せ。
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