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「いつも追い払ってるだけだ。3日くらい前にもゴミ箱の奴等が仲間を連れて行こうとしてたから、腕折ってやった」
男の子は、少し胸を張り口元を緩めた。
「ねぇ龍二君、ゴミ箱に雇われてる人ってこわもての人ばかりじゃなかった?子供にやられるとは思えないんだけど」
芹沢さんは男の子に聞こえないギリギリの声で僕に耳打ちした。
たしかに子供が太刀打ち出来るとは考えにくい。
「凄いな…一体どんなマジックを使ったんだ?」
僕がそういうと男の子はさらに胸を張った。
「俺に出来ないことなんてないからなっ」
いまいち答えになってなくて反応に困ったが、愛想笑いして誤魔化した。
「おい、俺にじゃなくて俺達にだろ?圭吾はいつも一人でカッコつけたがるよな」
背後からの声に身の毛が逆立った。
僕は慌てて振り返る。
芹沢さんも僕より一瞬遅れて振り返った。
振り返ったそこにはメガネを掛けた男の子と、凛々しい顔をした金髪の男の子がいた。
「ゴミ箱の奴等じゃないんだろ?だったら何もしないよ。話しの内容にもよるけどね」
ニコニコしながらガレキに腰掛けた金髪の方の少年が、まるで僕らの考えなど読めているような感じで言ってのけた。
「どうせろくでもない話しなんだろうけどね」
メガネの子がそう呟く。
さっき背後から突然声をかけたのはどうやら彼みたいだ。
少し捻くれた感じの様子が、金髪の子とは正反対だ。
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