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デンシャと呼ばれる箱の内部は、両方の壁際に長イスが端から端まで並んでいた。
僕が興味深く観察していると芹沢さんが隣りに来た。
「龍二君…デンシャって500年以上も前に地上で使われてたものよ?それがなんで地下にあるのかしら」
あまりにも突然で芹沢さんが何を言いたいのか分からなかった。
「えっと…なにがですか?」
僕がそう言うと芹沢さんは頬を少し膨らませた。
「もう!だって私達が地下に来たのって13年くらい前よね?
多分だけどそれまで地下に先住民なんていなかった。
ということは、ここって…つまり地下は、500年以上も前から存在したってことにならない?」
「あぁ…なるほど。でも、だとしたらなんなんですか?」
別にここが500年以上前から存在していたとしても僕らには全く関係ない。
「いや…別にだからどうってわけじゃないけど…」
芹沢さんは少し顔を赤くして下を向いてしまった。
仮にも科学者なだけに興味があったんだろう。
「おい!何くっちゃべってんだよ」
僕らがコソコソ喋っていたのが気に入らなかったのか、圭吾が口をはさみ、制した。
「兄ちゃん、そんなに怒ってたら話し出来ないよ…」
圭吾の妹は、今にも泣きそうだ。
「由美ちゃんと圭吾は、外にいるシズ達を呼んできてくれないか?」
シンは、ことを荒げないよう二人にこの場から離れるように指示した。
もちろん遠まわしにだ。
圭吾もしぶしぶながら頷いた。
圭吾の妹…もとい由美は、安心したのかニコッと笑うと分かったと返事をし、圭吾と共に外に出て行った。
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