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「普段からあんなに荒れてるわけじゃないんだ。許してやってほしい」
シンはニコニコ顔をやめ、真面目な顔で圭吾を庇う言葉を述べた。
おそらく…この子達はグループを組むことによって危機から逃れていたのだろう。
「いや、こっちもいきなり押しかけるような形になって悪かったよ」
僕がそう言うとシンは、再びニコニコとした顔に戻り、ありがとうと囁いた。
「君が…えっと、シン君がここにいる子達をまとめているの?」
話しを始めたのは芹沢さんだった。
まずは、たあいのない話しで安心させる。
こういった交渉の基本だ。
まぁもっともシンには、すでに話しを聞く準備が出来ているようだが。
「シンでいいよ。別に俺がまとめたり、仕切ったりしてるわけじゃない。みんな仲がいいからお互い協力してるだけだよ。まぁ言うならば仕切ってるのは圭吾かな」
「あぁ、なんとなく分かる気がする」
僕は、思わず笑ってしまった。
圭吾は、根っからのやんちゃ坊主でリーダー格といった存在だろう。
そしてシンや大地が参謀を企てるといった感じかな。
「こういう時は、頭のキレるシンが仕切ったほうがうまくいくけどね」
ずっと黙っていた大地がボソッと呟く。
「あんま買いかぶるなよ。この前は大地がいなかったら危なかったんだからさ。俺には、お前みたいに巧みな戦略を立てる技量はないし。どっちかって言うとお前のほうが向いてるくらいだ」
どうやら本当にお互いを信頼し合ってるらしい。
澤木が彼らを見たら「最高のサンプルだ!」と言って騒ぐだろうな。
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