ダストチルドレン~2~

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僕達が地下に追いやられてから幾らか時は経ち、生活が落ち着いてきた時にそれは始まった。 ある日、誰からともなくこんな意見が出てきた。 『地上の奴らに復讐しよう』 それは、地下に捨てられたほとんどの人間が考えていたことだった。 きっかけというのは恐ろしいもので、一度言葉にしてしまうと歯止めが利かない。 そしてそんな奴らが自然と集まって『地上攻撃推進派』が生まれた。 だがやはり全員が全員そういった感情をもつわけじゃない。 冷静な人ほど攻撃推進派にはならなかった。 地上と地下では武力に差がありすぎるのだ。 地下にあったものは、少量の食料と地上から捨てられたスクラップくらい… さらには人数の違いだ。 はっきり調べたわけじゃないが地下に送られたのは日本の人口の1/50程度らしい。 そんな理由もあってか攻撃推進派と攻撃反対派は、ほぼ均等に別れた。 当初は話し合いをしたりしていたのだが、攻撃推進派の中でも過激派に分類される奴らが痺れを切らし、反対派に宣戦布告を申し立てた。 勿論、反対派も黙ってやられるわけもなく、かなり道のそれた戦争が火蓋を切ったのだ。
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