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2600年、僕ら人間は勝ち組と負け組に振り分けられた。
なぜそうなったのか分からない。
ただ…ある日、突然家に黒い服を着た男が数人やってきて「残念ながら高木さんの一家は負け組に分別されました」と言い放ち、僕らは『地下』へと連れて行かれた。
『地上』と『地下』
僕らは、余りにも極端なやり方で日常を奪われたのだ。
「今日からここで暮らしてください」
地下に着いて一番初めに言われた言葉がそれだった。
当時幼かった僕には、その人が何を言っているのか理解できなかった。
天井を見ると100メートルほど上に分厚そうなプレートがあり、地上と地下を断ち切るような形で、そこに構えていた。
事の深刻さに気付けなかった僕だが、なんとなく分かったったことがある。
僕らは地下に捨てられたのだということ。
そして…僕はその日から今日まで一度も太陽を見る事はなかった…
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