ダストチルドレン~2~

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「…行きましょう」 僕は芹沢さんの肩を軽く叩いた。 「うん…そうね」 僕達が生きる為には与えられた仕事をするしかないんだ。 例えそれがモラルに反することだとしても。 「おい、止まれ」 ある程度近付いたところで前方から声をかけられた。 僕は、ゆっくりと声の主に目を配る。 そこには15歳ほどの男の子が、一回り小さい女の子と手を繋いで立っていた。 「お前らゴミ箱の奴等か?」 どうやらゴミ箱という施設があることを知っているようだ。 「ゴミ箱とは関係ないよ」 関係ないと言うと嘘になるんだけど、あえて言わない。 「本当かよ?」 男の子は、肉食獣みたいな目で僕達を睨み付けた。 疑われてもしょうがないのは分かっている。 でもこれは仕事なんだ。 「僕ら―…」 言葉がつまった。 男の子が突然僕から視線をそらしたからだ。 釣られてその視線を追うと、それまで黙っていた女の子が男の子の服の裾を引っ張っていた。 「兄ちゃん、ゴミ箱には女の人いないはずだけど…」 今の一言で分かったことが二つある。 二人は兄妹であることと、ゴミ箱の内部に詳しいということだ。 「ゴミ箱に俺らを売る奴等かもしれないだろ」 男の子は再び僕らを睨むと、そう言い放った。 「君たちは、どうやってゴミ箱の連中から逃げてきたんだ?」 どうも対応しずらい。 とりあえずゴミ箱の人達を『連中』と呼び、仲間でないことをアピールした。
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