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逃げなきゃみんな殺される。
人間の本能なのか全身の細胞全てがそう感じ取っていた。
「逃げろ!!!」
親父が叫んだ。慌てて三男のリョウがベランダの窓を開けて飛び出した。
それにつられて親父と俺もベランダに向かった。
でも、まだ次男のカズキが部屋に残っていた。
身近にある棒で母親を喰った何かを叩いていた。
それはまるで小学生のケンカの様にただ泣き叫びながら、棒を振っているだけだった。
「カズ!早く来い!お前も喰われるぞ!」
慌てて親父がカズキを羽交い締めにしながら、ベランダに引っ張り出した。
ベランダに逃げたとしてもそこは3階飛び降りたとしても、五体満足ではいられない。かといって、部屋に戻ることはできない。
この時間にも得体の知れない何かはズルズル体を引きずりながら、俺達のベランダに一直線に向かってきている。
「上だ!上の階に逃げよう!」
親父が体を半分出しながら、上の階を指差して言った。
ベランダにある上に乗れそうな物を捜し上の階によじ登った。
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