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「ダメだよ。俺の予想だけど…。この様子じゃどこも一緒だよ。」
おばさんは何か言いたそうだったが、おばさんも同じ考えなだったのか、口をつむって下を見てしまった。
眉毛をへの字にしながらリョウが言った。
「わかった。兄ちゃん、僕とおばさんはこの辺りで隠れてるからマムシ森の様子を見て来て。」
話しながら、自分の気持ちを奮い立たすように右手で強く握りこぶしを作った。「危険そうだったらすぐに安全なところを探して、逃げるんだ。俺はなんとかなる。」
俺もつい最近まで中学生だった弟とおばさんを連れて偵察に行く自信がなかった。
その場所にしゃがみ込み地面に両手で触れる。
こうすると地球に触れている気がして心が落ち着く。
高校の頃、陸上の大会でスタート前によくやったおまじないみたいなものだ。
大一番のレースではよくやった。
「フッー」っと深呼吸して、出口の階段を降りて行った。
よく見る刑事ドラマのワンシーンのように、壁づたいに横歩きしながらマムシ森につながる細道に向かう。
「入り口はもうすぐだ。」
そう自分に言い聞かせながらゆっくり辺りをうかがう。
「さっきの兵隊達が見回りをしてるだけなのか?」
そう思って森の細道に目を向けた。
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