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この団地は大きな丘の中腹に建っていて、少しいびつな形をしている。
今、見ているスロープは丘の下の方でこの団地につながっている道路はここしかない。
それに丘の頂上、団地の南側に面している方は森と大きなグランドがある。西側は違うアパートが東側はマムシ森がある。
マムシ森の東側は細道があり、西側のアパートとの間は金網のような境界で仕切られている。
この団地から出て行ける大きな道と次に出れる道をあの壁によって塞がれてしまっている。
「こうなったら、最後の西側の金網の方も行ってみよう。」
俺はもう一度勇気を振り絞り2人をうながした。
「西側ね。ここからだと、2棟を出なきゃいけないのね。1棟や3棟にはあの生き物はいないのかしら?」
「いやっ。いるはずだよ。おばさんの家から3棟の方を見たけど、通路にあいつはいた。」
「そんな!それじゃあ、西側もダメに決まってるじゃない!」
今にも泣きだしそうに困惑した顔をしながら俺にしがみついてきた。
「まだわからないよ。もしかしたら、抜け穴があるかもしれない。行こう!」
自分自身でも不安で一杯な気持ちを押し殺し、おばさんの肩を強く握りおばさんの顔を真っすぐみた。
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