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少しの間、沈黙があった。
「あれ?さっきより団地全体が静かになった?」
リョウがベランダの方を見ながらボソッとつぶやいた。
「本当だわ。周りの物音が聞こえなくなったわ。」
おばさんも一緒に周りを注意深く見渡した。
「なんか嫌な感じがする。」
父さんは立ち上がり玄関に向かった。
「父さん、どうした?」
俺も怯えながら父さんに着いていく。
「さっき、カズキと2棟を見に行って来たけど、何か様子がおかしいんだ。」
「様子がおかしい?どういう事?」
「やけに静かなんだけど、部屋の中で何かいる気配を感じる。それが人なのか、人感じるんだじゃないのか。」
俺の顔をジッと見ながら、震えながら言った。
「気のせいだろ?」
嫌な予感を否定しようと苦笑いをした時、向こうの部屋でこの世の物とは思えない叫び声が聞こえた。
「ギャー!」
「おばさんの声だ!」
そう言って父さんは部屋に戻った。
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