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ユイが出てきたところで、慌ててドアを閉め通路にあった自転車を押し当てた。
「ユイ、生きてたのか?」
「うん。でも、私一人。」
その落ち込んだ顔が何があったかを想像させた。
「リョウ!大丈夫か?!何とか言え!」
父さんがリョウの顔を叩いた。
でも、リョウは震えていて固まっていた。
「リョウ!」
「リョウ君!」
俺とユイも大声をあげながらリョウの体を揺すった。
その時、ドアの中からドーンという何かがぶつかる音がした。
その拍子にドアに押し当てていた、自転車が倒れた。
「父さん、ここはやばい!早く違うところへ逃げよう!」
父さんと俺でリョウに肩を貸して走った。
ドーン!!
ドアが勢いよく開いた。開くと同時にバケモノが転がって出てきた。
その音に驚いたリョウは俺と父さんを振り払いその場にうずくまった。
「リョウ!何やってんだ!早く来い!」
「喰われちまうぞ!」
もう俺と父さんの声はリョウには届いていなかった。
ただその場で震えながらうずくまる事しかできなかった。
バケモノはこっちを把握すると速くはないがこっちに向かってきた。
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