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今日は病院を早退させてもらい、いつもより早い時間に帰らせてもらった。
少し早い時間でも、この猛暑にこの長い坂は僕の体力をみるみる削り、坂を登りきる時には、全身びしょ濡れになっていた。
それでも予想していた時間よりかなり早く家に着き、扇風機の前でダレていた。
まだ弟達は帰って来てないみたいだ。
このオンボロの扇風機を一人締めできるのは、この時間しかない。
弟達が帰ってくるとこの心地よい風を3等分しなくてはいけない。
そんな貴重な時間を過ごしている時に限って、あの怒鳴り声がする。
「ほらっ!いつまでもダラダラしてないで、ちょっとは手伝いなさい!」
台所で首にタオルを巻き、顔中汗まみれで一週間分の食料を冷蔵庫に詰め込んでいる母親の声がした。
「へぇ~い。。」
僕は気のない返事で相変わらずダラダラしている。
「ほら!もうすぐ外に出れなくなるんだから、早くゴミ出して来て!」
「後でね~。」
「後っていつよ!もう時間ないって言ってるのに!!」
「ハイハ~イ。。」
扇風機の前からまだ立つ事ができない子供のように玄関までハイハイをしていった。
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