中学時代

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赤いピアス 俺はそれがあまり好きではない。血を連想させるから。ひきちぎられた耳を、連想させるから…。           それからも二人はよく俺に声をかけてきた。二人と言っても話しかけてくるのは瀬戸だけで、藍住は瀬戸の話に相槌をうったり俺を睨んだり。近付きたくないのなら近付かなければいいのにと思うけど、瀬戸から離れたくもないのだろう。だからせめてもの抵抗で睨んでくるのだ。 それなら瀬戸に、『周防には近付くな』と言えばいいだろうに…。       「周防君っていっつも一人でいるよね。友達いないの?」 瀬戸はそう言って俺の顔をのぞきこんできた。悪気はないのだろうと思うけどあまりにも直球すぎて答えに迷う。 …………天然か? 「小学校のときの友達とかは?」 「いるわけないだろ」 「えー!!何でよ」 藍住は呆れて頬杖をついている。こいつが助け舟をだしてくれるわけがないので視線を瀬戸に戻す。瀬戸は瀬戸で目輝かせてこっち見てやがるし。 「…俺みたいのに近付いてくる奴なんかいるかよ」 瀬戸は頭の上に?をうかべて首を傾げた。 「…何で?」 「俺からしたらお前みたいに近付いてくる奴の方が珍しいんだよ」 「…?」 こんな会話をしている間も、俺は背中に複数の視線を感じていた。俺に対してなのか瀬戸に対してなのかはわからないけど、たぶん両方なのだろう。 「……疲れた」 席を立って欠伸をかみ殺す。瀬戸が眉間に皺をよせたのが視界の端にうつったが気にせず教室を出て行った。     疲れた。   そう言ってはいつも教室を脱け出した。   とめる者は誰も、いなかった。      
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