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「お前ら!!」
警官が叫ぶ。
「やっべ」
「行くぞ!!」
バタバタと足音が遠ざかって行って、俺は道端に大の字になって寝転がった。
………口ん中切れたかも…
血の味が口内を満たす。横を向いてそれを吐くと、思った以上の量で驚いた。
「立て!!また喧嘩してたのかお前らは」
無理矢理腕をひかれて立たされる。
どう見たって俺一人がやられてたじゃねえかよ…
毒ついたけど声には出さなかった。さっきの女の子が、先に口を開いたからだ。
「この人は違います!!喧嘩ふっかけてきたのはさっき逃げて行った人です!!」
「…しかし」
ちらりと警官が俺を見る。
どーせ悪人面してるよ。誰がどう見たって俺が一方的にやられてたとは思わないだろうな。
「本当です!!私は…」
ズイッと女の子が警官に顔を近づけると、男は「わ、わかったから…!!」と言って手を放した。そのせいで地面に尻餅をつく。
「大丈夫ですか!!?」
「………平気」
だけど痛いもんは痛い。
いきなり放すなよと警官を睨むと、男はすまないと慌てて謝った。かなりびびってる。まだ若い顔立ちをしているから新米なのかもしれない。
「あの…よかったら話を聞きたいんだけど駄目かな?さっきの子たちは常連でね……近所でもいろいろやってて…。苦情がきていて困ってるんだ。せめてどこの学校なのかがわかれば…」
「…知らねえよ」
先にこの怪我の心配しろっつーの。目見えてねえのかよ。阿呆が。
やってらんねえと立ち上がると警官は頭をかいて困っているみたいだった。だからといってついていってやる気はないけど。
「何してんだー!!ん…?お前周防だな?!!」
学校からあの生徒指導の先生が走ってくる。
……ややこしいな
「またお前か!!たく…こんな時期に問題なんか起こしやがって……こっちにこい!!」
有無を言わさず力づくで腕をひっぱられる。
「待って下さい!!彼は…」
女の子がまたかばおうとしたが、先生は話を聞こうとしない。
…しかたないな……
ここはおとなしくついていった方がいいだろう。何もしていないんだ。抵抗する理由はない。
「大丈夫だよ、…サンキュ」
すれちがいざまに女の子に一応礼を言う。もちろん他の人には聞こえないくらいの小声で。
「あ、はい…!!」
隣に立ってあらためて思ったけど……こいつちっせえな。本当に中学生か?まあ制服着てんだからそうなんだろうけど。
「ほら!!さっさとしろ!!」
あー…うるせえ…
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