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『 同窓会のお知らせ
この度、桜華高校第26期卒業生による同窓会が行われることとなりました。お忙しいでしょうが、ご都合の合う方は是非ご参加下さい。日程は以下のようになっております。
なお、欠席される方は神崎までお知らせ下さい。
日程 5月8日(日)
時間 16:00~18:00
場所 〇〇駅西口
〇〇会場
連絡先 090-XXXX-XXXX
神崎 聡 』
「神崎かぁ…懐かしいな」
「神崎…?」
嘉香は首を傾げた。梨子も真似して傾げる。
「高校のとき生徒会長やってた奴だよ。クラスにいただろ」
「んー?」
嘉香の唸る姿を見て「そうか」と思う。高校時代の記憶もなくなってしまっているのだ。
「…会えばきっとわかるよ」
俺は手紙を封筒に戻すと、そのままふところに入れた。その動作をじっと見つめる梨子と視線がぶつかる。
「どうそうかいってな~に?」
興味津津といった表情で梨子は瞳を輝かせた。
「あー…ぱぱとままが高校生の時に同じ学校に通ってた人たちで集まろうってなったんだよ」
「ぱぱとままおでかけするの?」
「まだわかんないけどな」
まだ嘉香に乗っかっている梨子を抱き上げる。体を起こした嘉香の横に座って梨子を膝の上に乗せた。
「梨子もおでかけしたい!!」
ぐーっと後ろに頭を倒しながら梨子は俺を見上げる。
「そうだね~3人で行こっか」
嘉香の提案に梨子が「さんせー!!」と言って両手をあげたが、俺は額に手をやって溜め息をついた。
「梨子は同窓会には行けないよ」
「えー!!なんで」
「梨子には招待状がきてないからな。これがないと行けないんだ」
ふところから封筒を取り出して見せる。
「梨子の名前は書いてないだろ?」
「むぅ~…」
口を尖らせながら封筒を睨む梨子。嘉香は俺の服の裾をつかんで「連れてってあげようよ~」などと言っている。
「梨子漢字読めないもん!!書いてあるかもしれないもん!!」
まだ諦めていない梨子はそう言ってわめいた。
「ぱぱは漢字読めるけど、梨子の名前はどこにも書いてないよ」
「招待状出す人が梨子の名前書くの忘れちゃっただけだもん!!」
うるうると瞳をうるませる梨子がだんだんと可哀想に思えてくる。どうすればいいのか…。隣では嘉香がもらい泣きしそうだし。
「電話して神崎に聞いてみるよ」
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