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ソファーに座って少し落ち着いたかと思うと、すぐに裕二が口を開いた。
「ごめん。連絡無しに待ったりして。まじで怖いよね」
そう言って自虐的に笑う裕二の、心境が複雑なのだという事位美月にはすぐに分かった。
一気にゴウの事を考えていた自分に後悔を覚える。涙を必死にこらえてソファーの前にかがみ、裕二の両手をしっかり握った。
「そんな顔させて…本当にごめんなさい」
ーー ゴウのことなど考える暇などなかったのだ。こんなにも自分のために不安になってくれる人を、私は愛さずにはいられないのに。
「……あの話から、あの男の存在が美月にとって凄くでかいんだって分かってたから。そうとは知らずに話してたのが本人と知って、しかも褒めたりしちゃってさ。分かった時にすげー動揺して。何も知らないアイツに嫌味言った挙げ句、美月にも八つ当たりしてしまった」
低くかすれた声で裕二は言い、さらに続ける。
「……本当ごめん。俺、美月が思ってる以上にさ。美月の事好きなんだよ」
その言葉で、思わず裕二に抱きついた。
「……分かってます!分かってたのに!…こんな思いさせてごめんなさい!私も、裕二さんの事好きです!」
そう言われ、裕二も力の限り強く抱きしめる。そしてキスをした。初めて美月から唇を奪った。
裕二は一瞬驚きを浮かべるが、すぐに唇を返す。とても長く熱い口づけの後、そのまま美月は上着を脱ぐ。真剣な眼差しを受けて、裕二も見つめ返す。
二人はお互いを大事にするように、ゆっくり身体を重ねた。
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