憎悪其れを越して

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「お前はよ」 先生が他の生徒を見ながら言う。何を言うんだろうか。俺は重たい鉄の棒を持ったままじっくり耳を傾けた。 「頑張ってきたんだよな、途中まで。」 それが一体何だ? 「でも、いくらやっても駄目だから頑張るのやめたんだろ」 俺はうつむいた。確かに先生は的を射ていた。 「俺はそれが分かったから怒鳴るのをやめたんだ。んでだな」 こちらに向き直って、腕をくんだ先生は言う。 「親父さんは俺に頭下げて頼んできた。他の生徒を追い抜かすようにしてくれ、と。」 驚いた。まさか、あの無言の親父が!と。 「だから俺は必死に考えた。そしてお前は頑張り方を変えれば良いんだ、という結論に至った。お前がそこまで出来ないのなら、逆に言えば頑張り方によっちゃあ天才的実力を発揮するんじゃねえか、と思ったんだ。」
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