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「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
暗い路地裏。
一人の男が何かから逃げる様に走っている。
その男は角を曲がり、障害物の後ろに隠れた。
駆けて来た方を伺いながら、ゆっくりと息を整える。
足音が聞こえない事を確認すると、安心した様に大きく息を吐いた。
だが、目の前にある人影に男は息を呑んだ。
ここは灯りが無く、影は映らない。
その時、今まで雲に隠れていた月が顔を出した。
月光が人影を照らす。
「良かった…追いかけっこは終わり?」
目の前の人影は銀色の髪を風に流しながら満面の笑みでそう尋ねた。
再び男は逃げようとする。
だがそれを違う人影が遮った。
「早く死んでくれ…眠いんだからさ…」
その男は手に炎を纏わせ、そう呟いた。
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