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「久しぶりだな、シャム。少しは背は伸びたか?」
「む~。いきなり意地悪だなぁ。もうすぐ伸びる……予定だもん!」
「それ、五年前から言ってるけどな。
いい加減諦めなって。もう、二十歳だろ」
そう、アルの意地悪に顔を背けて拗ねている一見子供に見える少年は、実は二十歳でアルの先輩に当たる。
「歳は言っちゃ駄目だよ~!年増なのがバレちゃうよ~!」
「周知の事実なんだから気にするな」
「う~。ちょっと傷付いた」
口をつむんで、大きな瞳を伏せて落ち込む。
どう見ても、我が儘を聞いて貰えずに落ち込んでいる子供にしか見えない。
「やっ、やぁ……シャム。元気そうでなによりだよ……」
忘れられかけていた男が何とか死の淵からの復活を果たす。
その顔には、拳の跡がくっきりと残っていた。
「うぁ!びっくりした~。
フォルっち……またアルくんに何か言ったの?」
フォルスの様子からだいたいの事を察知する。どうやら、二人のやり取りは日常茶飯事のようだ。
「シャム、次の任務について何か聞いてるか?」
「ううん、何にも」
「そうか。次の任務はな……」
今までの経緯を手短にシャムに話す。その間、シャムは小さく相づちをうちながら聞いていた。
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