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「……いいのね。これで」
フォルス一人になったはずの部屋で聞き慣れぬ声が響く。
二人が出て行った扉にもたれ掛かる一つの影があった。
「息抜きにもなるだろうし、きっといい経験になると思うんだよ」
そちらを見ることなく、机の山から書類を一枚取り出して見る。
どうやら声の主に関しては知っていたようだ。
「それに……いざという時にいた方が助かるでしょ?」
「まぁね。だから、遠慮なく申し出を受けたんだし」
フォルスが笑いかけると、見知らぬ影も小さな笑い声を上げる。
「じゃあ、私も戻るわね。あの子達と娘さんに何かあったら連絡入れるわ」
「頼むよ」
影は、小さく頷くと消えた。
「とうちゃ~く!」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
笑顔で両手を上げているシャムの横で、アルは膝に手を付きぐったりとしていた。
「体力無いなぁ~」
「お前がおかしいんだからな。何が『秘技!十段抜かし~!』だ。
そういうのは、人の手を引っ張らずにやれ」
そんなやりとりをしている二人を迎えたのは、雑談をしていたダーク達だった。
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