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「よっし!じゃあ……って、魔法学校には何が要るのかなぁ?」
「ん、あぁ……ちょっと待ってろよ」
ポケットを探り、先ほど手渡されたパンフレットを取り出す。
「えーっと……特に書いてないな」
「じゃあ、ダークのみんなが持ってきてくれるんだね」
「たぶんな」
二人は螺旋階段を抜けて、広く開けた場所に来ていた。沢山の出店が並び、人も多く、賑やか過ぎるほどの活気に溢れている。
ここは、マーケット。食材から家具まで日用品がそろう場所。
“マクウェル”の存在は極秘で、任務以外での外出は禁じられているため、この様な場所が必然的に必要となるのだ。
「む~。降りてきた意味ないね」
「お前が早とちりするからだ」
「じゃあ、お菓子買って帰ろう!」
一人右手を突き上げてやる気を見せている。
周りのざわめきをよそに二人は歩き出す。やはり、黒ばかりの場所に赤色は目立つようだ。
「はぐれないように手を繋ぐか?」
「子供扱いしないの!僕は二十歳だよ!」
「そうか、実年齢より若く見えるな」
「遠回しに傷つくね。その言い方……」
露骨にテンションを下げて、顔を伏せながら危なげな足取りで歩く。
下げた本人は何てことないように、さっさと先に行ってしまった。
二人はそんなやりとりをしながら、黒色にのまれていった。
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