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真っ直ぐに続く道をポケットに手を突っ込んだまま歩く。
足音が岩の壁に反響し、自分のでは無いかのような錯覚を覚えさせた。
道の両側の壁には蝋燭が等間隔で掛けられている。
危なげに揺れるその光は、岩の道に幻想的な雰囲気を加えていた。
しばらく歩くと、明るく開けた場所に出る。
螺旋の階段がどこまでも続いており、天井は高すぎてその限界を見ることは出来ない。
そう……ここが、アルの所属する対悪魔部隊“マクウェル”の本拠地だ。
螺旋の真ん中にはテーブルやら椅子やらが置いてあり、先程と同じ黒いコートの人々が談笑をしている。
休憩所のようになっているらしい。
「よう」
左手をポケットに突っ込んだまま右手を振ると、談笑をしていた人々が静まり返って視線がアルへと集まる。
「アルさん!お帰りなさい!」
「今回は少し長い任務でしたね」
「まぁ、一杯やりましょうや!」
アルの周りはあっという間に人が集まり、口々に歓迎の言葉を述べる。
その中には女性もおり、決して男性だらけではないようだ。
「悪いな。まだ、あいつに報告してないんだ。
それを済ましたらまた戻ってくるからよ」
苦笑いで手を振って階段を上っていく。
集まっていた人々もそれを見送ると、再び談笑を始めた。
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