一ヶ月前の親父

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一ヶ月前の親父

足が縺れる 営業は朝から晩まで働くのが当たり前である しかし、会社に勤めて13年… 慣れるものである… 何故慣れてしまったのであろう?何故こんな辛い会社に勤めているんだろう… そんなくだらない事を考えながらいつもと同じ帰り道を通る 家の目の前にコンビニがある 急いで帰って温かい家族とご飯にありつきたい などというのは三年前までの話しである 娘が成長するに連れて家族で過ごす時間が減って行く… 夜風が涼しい… コンビニに入り、弁当とコ一ヒ一牛乳を買うのが日課となってしまったこの頃 家の目の前に立つと娘の部屋が暗い また夜遊びに出掛けているのだろう… 妻に娘の事を任せっぱなしで今更ながら空しさを感じる 娘とは、休みの日でも携帯電話でしか話さない… 家族でご飯にありつく事は無くなってしまった 皮肉な事だ。携帯の基盤を作っているのに私がお客様より携帯を嫌っている 娘にあげた携帯電話 あんなに喜んでくれたのに… これぞ皮肉というものだ… 私は娘と話すのでは無く携帯電話と話している 近頃そんな事ばかり思うようになった… 携帯なんか無くなってしまえばいいんだ… そんな事あるわけない…あの時はずっと思っていたんだよ… 娘と話したかっただけなんだよ…
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