序奏

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白く広い、大きな城の中。 カツン… と、靴音が響く。 「こんな所に居たのですか、シャルティア様…」 呼ばれて振り返ったのは、シャルティア・ローゼン・ド・マリー。 誰もが認める美しさ。 見た目のままの落ち着いた、優しい性格。 「ベル…二人の時はシャルでいいと言った筈ですわよね。敬語も必要ありませんわ」 「あ…ごめん、シャル」 シャルの言葉に苦笑して返したのは、ヴェルフィアン。 シャルの親友で、これまた美しい女性。 二人の白いドレスが、床と壁の白に溶けていく。 「シャル…気付いてるわよね、あなたなら」 「ええ……あの、嫌な空気。それに…」 シャルは言葉に詰まった。 ベルも。 互いに、言いたいことは分かっていた。 「もうすぐ…ですわね」 「ええ」 もうすぐ… もうすぐ、世界の存亡を賭けた聖戦が始まる。
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