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「霊女…」
真新しい制服に身を包み、長い黒髪をポニーテールにして私は呟いた。
私の名は海野光。
今年この桜ヶ丘神霊女学院に入学が決まった新入生。
「そんなにまじまじと見なくても、何度も見たでしょう。それに、これからは毎日見るんだから」
「母様…それはそうですけど」
私は一度母を振り返り、また学院を見上げて呟く。
これから毎日通う場所。
ついこの間まで中学生だったのに。
「…では母様、行って参りますね」
「連休には帰って来るのよ」
「はい」
短い挨拶を交わし、私は学院内へ向かう。
荷物は世話係が持っているので、私自身は手ぶら。
持っているのは携帯一つ。
本当はこういうのは嫌なのだけど、世話係の華代乃さんも母様も、私に持たせてくれない。
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