第一節

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歩いている途中、私は立ち止まった。 「光様?」 「先に部屋の方へ運んでおいて下さいませんか?私は少々、気になることがありますので」 「?…かしこまりました」 華代乃さんは私に頭を下げ、荷物を持ったまま寮の方へと消えていった。 その様子を見送った後、私は人気のない場所へ入り込む。 「……」 「……!…!!」 「………」 話し声が聞こえてくる。 喧嘩のような…一方的な暴言のような。 だけど どうしてだろう……何だかあの声、懐かしい…。 声の方へ、近付いていく。 肩ほどまでの短い髪を少しずつ2つに結わえた少女が、数人の先輩方に囲まれて怯えていた。 状況はよく分からないけど、こんな光景は大嫌いだ。 「こんな所に居たのね。もう式始まるわよ。行きましょう」 私は違和感のないように少女の腕を引く。 少女も慌てて私の後を付いて来た。 先輩方に睨まれた気配があったが、別に気にはしなかった。
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