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歩いている途中、私は立ち止まった。
「光様?」
「先に部屋の方へ運んでおいて下さいませんか?私は少々、気になることがありますので」
「?…かしこまりました」
華代乃さんは私に頭を下げ、荷物を持ったまま寮の方へと消えていった。
その様子を見送った後、私は人気のない場所へ入り込む。
「……」
「……!…!!」
「………」
話し声が聞こえてくる。
喧嘩のような…一方的な暴言のような。
だけど
どうしてだろう……何だかあの声、懐かしい…。
声の方へ、近付いていく。
肩ほどまでの短い髪を少しずつ2つに結わえた少女が、数人の先輩方に囲まれて怯えていた。
状況はよく分からないけど、こんな光景は大嫌いだ。
「こんな所に居たのね。もう式始まるわよ。行きましょう」
私は違和感のないように少女の腕を引く。
少女も慌てて私の後を付いて来た。
先輩方に睨まれた気配があったが、別に気にはしなかった。
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