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先生方の話を聞くだけの、退屈で長い入学式が終わった。
あの少女は、私と同じクラスの列に座っていた。
「…さて。寮に行こうかな」
と、呟いた言葉が誰かと重なったことに気付いた。
振り返ると、染めた後だと思われる赤みがかった髪。
制服は初日から最悪に乱している。
よく見ると化粧も少しのっているだろう。
また…少し苦手なタイプの人。
こういうタイプとは、あまり絡みたくないな…。
とか、普段なら思うのに…。
「はじめまして~♪寮なんだね、部屋どこ?」
「107号室よ。あなたは?」
不思議と嫌な気はしなかった。
すんなりと違和感なく、私は言葉を返していた。
「108号室、お隣♪」
少女は、にっこりと笑って言った。
「そう。…私は光。海野光よ」
「あたしは小崎紗唖弥。さっちかサヤでいいわよん♪」
「じゃあ…サヤで」
私は少し呆れぎみの声と口調で返した。
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