第一節

5/21
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
先生方の話を聞くだけの、退屈で長い入学式が終わった。 あの少女は、私と同じクラスの列に座っていた。 「…さて。寮に行こうかな」 と、呟いた言葉が誰かと重なったことに気付いた。 振り返ると、染めた後だと思われる赤みがかった髪。 制服は初日から最悪に乱している。 よく見ると化粧も少しのっているだろう。 また…少し苦手なタイプの人。 こういうタイプとは、あまり絡みたくないな…。 とか、普段なら思うのに…。 「はじめまして~♪寮なんだね、部屋どこ?」 「107号室よ。あなたは?」 不思議と嫌な気はしなかった。 すんなりと違和感なく、私は言葉を返していた。 「108号室、お隣♪」 少女は、にっこりと笑って言った。 「そう。…私は光。海野光よ」 「あたしは小崎紗唖弥。さっちかサヤでいいわよん♪」 「じゃあ…サヤで」 私は少し呆れぎみの声と口調で返した。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!