第一節

8/21
前へ
/50ページ
次へ
私は笑みをもらした。 「仕方ないわね。部屋番号はともかく、名前まで見る人なんてあまり居ないもの」 言うと、山川さんは少し間を置いてから荷物を片付け始めた。 彼女の荷物は、かなり少ない。 私の荷物が多いのもあるが、私のが一般的な人の荷物の1.5倍なら、彼女の荷物は2/3程度。 これが、差のある今の社会の現状…。 考えると、ため息が出る。 私はせわしなく荷物を整理する山川さんを見た。 「私は海野光。せっかく同室になったのだから、仲良くしましょう」 それだけ言い、私も荷物の整理を始めた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加