第一節

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† 同室の人、海野光さん…。 印象はいい人だった。 優しく落ち着いた雰囲気に、とても気高い、圧倒的なオーラ。 私なんかとは、絶対に釣り合わないような。 だけど、逢ったのも今日が初めてなのに、何だか懐かしい気がして…。 「…貴方なら、こう言うかな」 『非科学的だ』と。 “彼”なら吐き捨てるだろう。 そしてその上で、大丈夫だよ、と、抱き締めてくれるだろう。 その“彼”は、もう私の前に現れることはないのだけど。 でも…それでも、 「また、逢いたいよ…」 逢いたい……。 たった一人、貴方だけに─── 気が付くと、涙が溢れていた。 ぼろぼろと零れ落ちる涙は、拭っても拭ってもとどまることなく溢れてきた。 それからどうしたのか、私は外に居た。 寮の新館と旧館の間の中庭。 そこに…彼女が居た。 何か考え込んだ様子で。 「海野さ───」 声をかけようとした瞬間、私を見た彼女…海野さんが顔を上げて立ち上がった。 否、走り出した。 立ち上がりざまポケットからハンカチを取り出し、それを広げつつ私の前に庇うように。
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