第一節

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───── 「くっ……」 ───一瞬、何が起こったか分からなかった。 何? どうして海野さん、私の前で座り込んでるの? 左腕を押さえて…。 今、飛んできたのは何? …矢? 私に向かって? どうして…? 私はガクリと膝をついた。 頭が真っ白になる。 海野さんが何かを言ったのも、耳に入らなかった。 優しい手が、私に触れる。 …何だか懐かしい。 あの人の手と、同じ温もり。 あの人より小さなこの手が、今は私を守ってくれてるみたい。 パタッ… …え? その、小さな腕から流れ落ちる… それは─── 「ぃ……いやぁぁぁぁあ!!」 私は頭を抱えた。 思い出したくない、忌々しい記憶が脳裏にかすめる。 あの時の悪夢が、蘇ってくる。 また、涙が溢れて止まらない。 「…ち……血が…っ!」 私が絞り出した声に、海野さんは自分の腕を見た。 「…大丈夫よ。これくらいならすぐ治るわ。落ち着いて、山川さん」 なだめるように、海野さんの手が優しく私の背を撫でた。 ああ…やっぱりこの人、とても懐かしい。 以前(マエ)にも、どこかで…。
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