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『山川さん、大丈夫?怪我とかしてない?』
『ぃ……いやぁぁぁぁあ!!』
山川さんが頭を抱えて泣き出した時、私の脳裏に何かが浮かんだ気がした。
遠い昔にも、あったような…。
当の山川さんは、今は落ち着いて眠っている。
矢がかすって怪我をした私の腕には、包帯が巻かれている。
あの後すぐに夏菜が来て、簡単に手当てをしてくれたから。
今、犯人の手がかりを、夏菜や先生方が探してくれてる。
だけどあの時、夏菜は確かにこう言った。
『手がかりなんて、見つかる筈ない。“あいつら”が、そんなミスする筈ないもの…』
きっと、私以外には聞こえていない。
でも夏菜は、少なからず犯人を知ってる。
…何だか混乱する。
今日1日で、色んなことがありすぎた。
「っ……神崎…」
私の口からもれた名前は、自分の恋人である筈の人のそれではなかった。
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