第一節

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† 『山川さん、大丈夫?怪我とかしてない?』 『ぃ……いやぁぁぁぁあ!!』 山川さんが頭を抱えて泣き出した時、私の脳裏に何かが浮かんだ気がした。 遠い昔にも、あったような…。 当の山川さんは、今は落ち着いて眠っている。 矢がかすって怪我をした私の腕には、包帯が巻かれている。 あの後すぐに夏菜が来て、簡単に手当てをしてくれたから。 今、犯人の手がかりを、夏菜や先生方が探してくれてる。 だけどあの時、夏菜は確かにこう言った。 『手がかりなんて、見つかる筈ない。“あいつら”が、そんなミスする筈ないもの…』 きっと、私以外には聞こえていない。 でも夏菜は、少なからず犯人を知ってる。 …何だか混乱する。 今日1日で、色んなことがありすぎた。 「っ……神崎…」 私の口からもれた名前は、自分の恋人である筈の人のそれではなかった。
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