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†
部屋に戻った私は、ベッドに山川さんが居ないのに気付いた。
キッチンの方を見ると、山川さんは居た。
私はどこか安心して、窓際のソファに座る。
「海野さん、紅茶と珈琲どっちがいい?」
「あ、ありがとう。紅茶でお願い」
キッチンから顔を覗かせた山川さんに軽く返し、机の上に置いてあった本に手を伸ばそうとした。
───本まで、届きはしなかった。
「───っ…!!」
私が伸ばした左手を、何かが貫いていた。
矢だ。
昼間、山川さんに向かって飛んできたものと…恐らく同じだろう。
「海野さん?どうし───」
「来ちゃダメ!」
…遅かった。
山川さんは既に顔を出し、私の手から流れる血を見て青ざめていた。
「ぁ……あ…」
悲鳴をあげるかと思った瞬間、
バンッ!
「おい、今───!」
一人の少女が駆け込んできた。
彼女は…
「小林さん…」
「ちょっと優!何事!?」
小林さんの後ろから、サヤも駆け込んでくる。
そして、私を見て絶句した。
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