第二節

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* 今朝の目覚めは、あまりよくなかった。 何だか、とても切ない夢を見た気がする。 あまり覚えてない。 …ただ、昨日の“アレ”は、夢ではなかったようだ。 左腕に残った傷が、まだ少し疼く。 今、何時? 時計を見ると、まだ5時。 有り得ないし…。 兎に角、目が覚めてしまったのは仕方がない。 私は起き上がり、机の方に向かった。 鞄からノートパソコンを取り出し、机の上に広げる。 同時に、山と積み上がる書類もその横へ。 パソコンを起動し、書類一枚一枚に目を通しながら文字を打ち込んでいく。 と言っても、パソコンの方は見ていない。 母親譲りの、「速いね」とすら言ってもらえるブラインドタッチ。 母様はもっと速い。 この山積みの書類も、私で二時間半かかるところ、母様なら二時間足らずで終わらせる。 流石と言うべきか、顔に合わないというか…。 あれは超人的よね。
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