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7時半。
書類の始末が終わった頃、寝ぼけ眼で山川さんが起きてきた。
元々が天然パーマなのか、昨日のストレートの髪が、今は波打っている。
「あれ…海野さん、朝食は?」
「ああ、私料理ダメだから、食堂に行こうかと思って」
制服に着替えながら聞く山川さんに、私は苦笑して返した。
そう。
どうも料理はダメなのよね。
過去のトラウマが…。
ああ、もう。
思い出したくもない。
「だったら、私が作ろうか?」
「へっ?」
あまりに唐突な言葉に、私は間抜けな声をあげた。
「朝食もお弁当も夕食も、私が作るよ。食堂使う時は言って?自分のだけにするから」
惜しみなく平然とそう言ってのけるので、
「う…うん…」
お願いしてみることにした。
山川さんは制服の上からエプロンを着ると、キッチンへと消えていった。
はてさてどんな料理が出てくるやら。
確か、“彼”から聞く限りでは、彼女の料理はとんでもなく美味しいんだとか。
食べてみる価値はありそうだ。
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