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「…出来た」
声が上がったので、キッチンの方へ行った。
何とも美味しそうな…
見た目と香りだけでも食欲がそそる。
出来上がったいくつかの料理を運ぶと、山川さんは弁当箱を二つ持って出てくる。
「中身は朝食と変わらないよ。お弁当箱なかったから、私ので悪いけど」
ああ、そういえば、作る気なかったから持ってきてなかったかも。
「ありがとう。今日買ってくるから、帰るの遅くなるね」
「うん」
山川さんは少食なのか、弁当箱が小さい。
私はかなり食べるから、あれでは足りない。
やっぱり大きいの買わなきゃ。
今日はまぁ…食堂も行けばいいかな。
せっかく作ってくれた山川さんには悪いけど。
思いつつ、出されている料理を口に含む。
「………」
言葉にならない。
それほどに美味しい。
何か…何か感想でも言わないと…。
「おっ…美味しいね」
………あぁ、もう。
何なのそのものすごく普通な感想は。
ほら、山川さんも呆れて…
「ふふっ…ありがとう」
呆れて…ないわね。
初めて見る山川さんの笑みに、私はまた、言葉を失った。
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